第26章 軍艦×デ×脱出
「試験に決まってるだろうが。 もしかしたら制限時間があるかもしれないぜ?」
「みなに不安を与えるような発言は感心しないな。 何か根拠があるのか?」
クラピカの問いに、男は自信満々に答えた。
「タンクの水を見てきた。 飲み水の残りはほとんどないぜ」
男によると貯水量は約3日分。 1日は宝探しで消えて残り2日。 裏を返せば、ゼビル島は2日以内で行ける距離にあるのだそう。
「決まりだ! 船を探すぞ!」
ただ待つことに痺れを切らした受験生の一部が、軍艦島から脱出することが試験だと思い込んでしまいそれぞれが脱出するための船、手段を探しに駆け出す。
「バラバラに行動してたら、何かあった時に乗り切れないぞ!」
ハンゾーの制止に耳を貸すことなく走り去っていく受験生達。
この状況はまずいと、皆を煽った男にクラピカが詰め寄った。
「みなを煽るな! 下手をすると遭難者が出るぞ」
「数が減るのも試験の内さ」
誰にどんな不幸が起きようと知ったことじゃないと男は笑みを浮かべていた。
「どうする?」
「もう一度、手分けしてこの島の位置が正確に分かる手掛かりを探すのはどうだ?」
「じっとしてるよりかはマシかな。 ゴン、さっきの場所に行こうぜ」
キルアとゴンはさっそくどこかへ行ってしまった。
「お前はどうするんだ?」
レオリオがハンゾーに聞くと、先ほどの分からずやの受験生達に考え直すよう説得しに行くという。 良い人だな。
何か見つけたら甲板に集合ってことで一度解散する。
さて、私はどこを探索しようかな…
「やあ♥」
『うげっ』
「そんな顔するなよ、傷つくじゃないか」
条件反射だから仕方ないじゃない。
外通路を歩いていると、予期せぬ人物に背後から突然声を掛けられた。
『ヒソカ…』
「天空闘技場で戦って以来だね~会いたかったよ♥」
私は正直もう二度と会いたくなかったのですがね。
「まだまだ成長の余地はあるけど、なかなか楽しかったよ。 また戦おうね、今度は闘技場の外で」
『遠慮します』
「フラれちゃった♧ ところで、みんなで何してるんだい?」
状況をヒソカに説明すると、「ふ~ん」と興味なさげな返事が返ってきた。
皆、これが試験かどうか、島を早く脱出するべきか否かで混乱しているのにこの落ち着き様。