第26章 軍艦×デ×脱出
結局夜が明けても迎えが来ることは無かった。
通信室でポックルという少年が救援を要請しようとしたらしいが上手くいかず、我々は遭難状態であると確定した。
シン…っと静まり返る部屋の中、遠くで暴風のような音が微かに聞こえてきた。
―――ゴォオ―…
「ん? 今、なにか変な音しなかった?」
「いや、別に」
ゴンがキルアに尋ねる。
聞こえていたのはゴンも同じだったが、他の人は気付いていない。
この音が何なのかは分からないけど、今心配することでもないかな。
「こうしていても始まらん。 ここはまず手分けして手掛かりになるモノを探すってのはどうだ?
髪無し、もといハンゾーの提案で各々艦内を探索することになった。
私はハンター協会から送られた書類に何か手掛かりになりそうなものはないかを調べることにした。
『ん~っと、どれどれ』
途中で翻訳するのが嫌になり、読むの止めてしまった箇所があるんだっけ。
自分で読むのも面倒なのでゴンあたりにお願いしようかな。
甲板へ向かうと、探察を終えた面々が既に集まっている。
レオリオは人数分のコンパスが入った箱。 ハンゾーは計測器具。 クラピカはゼビル島への行き方が描かれたメモを見つけていた。
『私はハンター協会から送られてきた書類が……』
私の言葉を聞いて一斉にこちらへ視線を向ける受験生達。 怖いよ。
「ちょっと見せてくれ」
近くにいたクラピカに書類を渡し内容を確認してもらう。
「おいクラピカ、何て書いてあるんだ?」
レオリオが急かすと、クラピカは無言で首を横に振った。
「試験管補佐としての作業内容だけだな」
そう言った後、クラピカはなぜか呆れた顔で私の方へ視線を向ける。
『ん?』
「注意事項ぐらいはちゃんと覚えておいた方がいいぞ」
注意書き…ちゃんと読んでないから知らないなんて恥ずかしくて言えない。
見つかった道具は明らかに船旅を勧めるものばかり。
「これは間違いなく試験だ! ゼビル島へ辿り着くのがな!」
逸る受験生達をクラピカとハンゾーが落ち着かせようとするが、帽子を被ったもじゃもじゃ頭の男が現れたことによって収拾がつかなくなってしまった。
「これだけの情報では曖昧で危険だ」
「試験の可能性は高いが、どうもこれまでとは様子が違う。 皆でまとまって行動した方がよさそうだ」
「甘いな」
