第25章 ドキドキ×ワクワク×試験管補佐
受験生達が船内へと歩き出し、ゴンがこちらへ駆け寄って来ようとした時、バナーさんの声で皆の歩みは止まった。
「お待ち下さい。 宿泊費前金で1千万ゼニーいただきます」
「「「「1千万ゼニー!!!???」」」」
1千万ゼニーがどれ程の額なのか分からないが、とんでもない額なのは彼らの表情からなんとなく察した。
今にも目の玉が取れてしまいそう。
「ヨークシンシティの超高級ホテルでも半年泊まれる!」
あれ? この声聞き覚えが……
ずんぐりした体に大きく丸い鼻……トンパだ!今年も受けてるんだ。
「あの~そんな大金持ってない子どもは……?」
ゴンが不安そうに眉を下げて恐る恐る尋ねた。
「つーか、この連中がブルジョワ貴族の団体さんに見えるか!? 大人だって持ってねェーよそんな金!」
ゴンと一緒にいた先ほどの男が嘆く。
「それではお泊めすることはできません」
「あぁー結構だ! こんなぼったくりホテルに泊まるぐれェなら、島で野宿した方が何ぼかマシだぜ!」
ズボンのポケットに手を突っ込み、背を向けて歩き出した男だったが、金髪の女の言葉に足を止める。
「3日間。 問題は水だ。 この規模の島では湧き水などは期待できないから雨を待つしかない……。 この強い日差しの下では2日と立たない内に日干しになってしまう。それに、たとえ雨が降っても次の試験を耐え抜くだけの体力が残るとは思えない」
「んじゃあどうすりゃーいい!? んな大金夢の中でだって拝んだこたーねーぞ!」
男のイライラはどんどん増していくばかり。
解決策は無いのかと皆が思ったその時、
「そんなお客様には、別のお支払い方法も考えてございます」
ジナーさんがタイミングを見計らったかのように口を開いた。
「現物です」