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覇者×ト×敗者

第23章 対戦×デ×苦戦


一週間過ぎるのはあっという間だった。
出来ることはやった。後は戦うだけ。
今日は姉様も観戦に来てくれているはずだ。
緊張で少し冷や汗をかきながら試合が開始されるのを控え室で待つ。

‘さあーみなさんお待ちかね! 大注目の一戦! 休みがちの死神 奇術師、ヒソカ選手 V.S. 怪力娘、ニーナ選手の対戦です!!’

リングへ上がり、周りの観客席を見渡すと、以前の試合とは違って大勢の観衆で埋まっていた。

「よそ見する余裕があるなんて感心感心♠」

「……」

相変わらず不気味な笑みを浮かべてこちらを見るヒソカ。
正直、軽口をたたく余裕はない。集中しなければ。
一瞬でも気を抜けば、待ち構えるのは死。

「ポイント&KO制! 時間無制限1本勝負! 始め!!」

開始の合図と共に、ヒソカ目掛けて駆け出す。
念を習得した今なら、ダメージを与えられるはず。

「いい動きだ。 でも、届かなければ意味が無い」

「ッく!」

あと一歩のところで避けられてしまう。
やはり隙を作らなくては奴を崩せない。

「すぅ……」

深く息を吸って、真正面からヒソカへ飛び掛る。
両拳を突き出せば、向こうは両手でそれを掴む。


狙い通り!!


「ッうぁあああああ゛ぁーーー!!」

ヒソカは完全に呆気にとられている。
今は体が思うように動かないはず。
掴んでいた手を払い、腹部に渾身の力を込めた一撃を与えた。

「はぁッ!」

流石のヒソカでも膝を付いていた。
これで1ポイントは私に入るだろう。
ヒソカを殴られればそれで良いと思っていたが、せっかくなので勝ちも狙いたかった。
そう思って審判に視線を向けると、両耳を押さえて蹲っていた。


しまったーーー!!


声を抑えたつもりだったが、彼の鼓膜を破ってしまったのだろうか……

「今のは……なかなか良かったよ♥」

口端から滴る血を親指で拭いながら、ヒソカが呟く。

「ボクもそろそろ本気をだそうかな」


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