第22章 姉様×ノ×能力
出来るだけ家から遠い場所で息を潜める。
多くの人で賑わっている通りの近くに隠れることにした。
相手はあの姉様だ。ほんの僅かな気配でも逃さないだろう。
これだけ人が多ければ紛れて隠れきれることも____
≪発見!≫
「ぎゃッ!?」
急に真横から声がして腰を抜かした。
なんだこ人形みたいな……小人みたいな生き物は。
赤いとんがり帽子に赤い三角の旗を持っている。
黒いつぶらな瞳にふっくらとした桃色の頬が可愛らしい。
ジーッと見つめていると、
≪ナビさんです!≫
「……ん?」
訳がわからず混乱していると、いつの間にか私の背後に立っていた姉様が笑いを堪えながら説明してくれるた。
「この子はナビさん。私の能力のひとつである"捜索者"(シーカー)だよ」
これが姉様の人を捜せる能力なんだ。
念能力って凄いなぁ…
「あれ?」
姉様から再びナビさんの方へ視線を移したが、そこにはもう何も存在していなかった。
「捜索対象を発見すると消えるんだ。さ、家へ帰ろう。立てる?」
「はい、スミマセン…」
姉様が差し伸べてくれた手を掴んで立ち上がる。
途中で、美味しいスイーツのお店があるというので、修行を頑張ったご褒美にいくつか買ってから帰ることにした。
姉様が紅茶を淹れている間、テーブルに先程買ってきたスイーツを並べていく。
どれもきらきらつやつやで美味しそうだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます!」
姉様が淹れる紅茶は美味しい。
「"発"とは、オーラを自在に操る技術のことで、この6つの系統に別れている」
円になっている何かの図が描かれた紙を渡され、それを順番に説明されていく。
もののもつ働きや力を強くする「強化系」
オーラの性質を変える「変化系」
オーラを物質化する「具現化系」
オーラを飛ばす「放出系」
物質や生物を操る「操作系」
他に類のない特殊なオーラ「特質系」
「誰しも生まれ持つ系統があり、その系統が最も習得し易い。自分の系統と並んでいる系統は相性が良く次に習得し易くなっている。離れている系統ほど相性は悪く習得は困難になる」
さて困った。
もうそろそろ私の頭は限界だぞ?
「そんな難しい顔をするな。これはゆっくり学んでいけば良い」
「……はい」