第22章 姉様×ノ×能力
「その人は私のことを知っていたのか?」
場に緊張が走る。警戒心。
「いえ、姉様に関することは何も知らないようでした。私も何も話してません」
「そうか。仕事はいつも仲介人を通して行っているから、私のことを知っているとしたら同じハンターか、只者じゃないならず者だ。後者だったら厄介だから警戒してるんだ」
正直、姉様が言ってることがあまりピンとこない。
人捜しを隠れてやっている様な言い方だ。
なぜそんなに警戒する必要があるのか理解出来なかった。
だから私は馬鹿って言われるんだろうな。
「いつも家に来る"客"は仲介人のことなんだ」
「そうだったんですか……」
「そのクロロという男とはどこで知り合ったんだ?」
「それがですね」
姉様にクロロと出会った経緯を話す。
すると、先程の緊張がスゥーと消えていくのを感じた。
「お礼に芋を……あげたのか?」
「はい!」
しばらく無言で私を見つめた後、姉様はぷッと吹き出した。
「それなら印象に残っててもおかしくないな」
久しぶりに姉様の笑顔を見られた……
それが嬉しくて、姉様を笑顔に出来そうな修行の成果のことも勢いで話した。
「姉様!私ついに練を一時間保てるようになりましたよ!」
「そうか!よく頑張った。これで応用技のひとつ、"堅"を習得できたな」
姉様が満面の笑みで私の肩をポンッポンッと叩く。
なんだか認められた気がしてとても嬉しい!
ってあれ応用技だったの!?初めて聞きましたよエッダ姉様!
「基礎はあと2つ。そのうちの1つである"絶"は、狩りを通して身についているはずだ。ニーナの場合は、婆様の授業から抜け出す時と調理場へ忍び込む時に使ってる技だな。何のことか分るか?」
「気配を絶つことですか?」
「その通り。絶は精孔を閉じてオーラが全く出ていない状態にするんだ。調理場へ忍び込む時みたいに気配を絶ってみて」
「はい」
姉様に言われた通りに気配を絶つ。
「うん、習得に至った経緯は良くないが、絶は完璧だ。これで残るは"発"。念能力の集大成。この"発"があんたの能力になる」
「……へ~」
「実際に見た方がはやい。ニーナ、今から10分ここで待つから、その間に街のどこかに隠れてくれ、もちろん絶を使って」
「分りました」
何がなんだか分らないが、姉様に言われた通りに隠れに行こう。
