第22章 姉様×ノ×能力
クロロには人を惹きつける魅力があることに気付いた。
行く先々で皆から好意的な態度をとられるのだ。
彼が街を発つ日までは、一緒に飲食店でご飯を食べたり、天空闘技場前のベンチで他愛もない話をした。
そしてとうとう別れの日がやって来た。
「試合に出ることが決まったら教えて。それじゃあまた」
「はい!また」
またいつも通りの日常に戻った。
練の修行も順調に進み、ついに1時間保てるようになった。
30分保てるようになるまで数ヶ月かかったが、コツをつかんだ後は大分楽にオーラを練られるようになった。
はやく姉様帰ってこないかな~と思いながら過ごしていたある日、滅多に鳴ることがない家の電話が鳴った。
「もしもし?」
<こんにちは。ウィングと申します。エッダはいらっしゃいますか?>
「あ、エッダ姉様は今お留守です」
てっきりエッダ姉様かと思っていたので少し緊張する。
<そうですか。では、彼女が戻ったら連絡をくれる様伝えて貰えますか?>
「はい」
<ありがとうございます。それでは>
電話を切った後、自分が息を止めていることに気付いた。緊張で。
姉様とは話したいことがたくさんある。はやく帰ってこないかな……
しかし、姉様がやっと帰ってきたのは、約一ヵ月後だった。
「おかえりなさい!」
「……ああ」
エッダ姉様と話したいことがたくさんあるが、短く返事をした後直ぐに部屋に籠ってしまった。
相当疲れているのか、纏うオーラが淀んでいる気がする。
ウィングさんからの電話とクロロのことは後で話そう。
きっと今回の仕事はとても大変だったんだろうな。
寂しさを感じながらも、今はそっとしておいてあげよう。
翌日、エッダ姉様は何事もなかった様に部屋から出てきた。
「姉様、ウィングさんという方から電話がありました」
「分かった。ありがとう」
ウィングさんの名前を聞いたエッダ姉様は、なんだか嬉しそうに見えた。
私には関係無いことだがふたりの関係が気になる。
聞いても良いものかと悩んでいると、それが表情に出ていたらしくあっさり教えてくれた。
「ウィングは兄弟子だよ」
そうだったんだ。どんな人か気になるな。
「何の用だろう」と呟きながら姉様は新聞を広げた。
その邪魔をするのは申し訳ないと思いつつ、クロロの人捜しのことも話すことにした。