第22章 姉様×ノ×能力
今日から天空闘技場で見張りをしている間、ヒソカを倒す作戦を考えるのではなく、ヒソカと戦っているイメージを頭の中で描いていた。
ヒソカから繰り出される攻撃を想像し、それをどう回避して反撃するのかを。
集中しなければいけないのに、姉様のことが気になって仕方ない。
距離を置かれている気がするのは気のせいかな……
「はぁ」
「悩み事かな?」
いつも通り天空闘技場の見張りをしていた、そんなある日。
「え? あッいえまあ、はい」
不意に話しかけられて変な返事をしてしまった。
挙動不審になる私に笑みを浮かべながら男が隣に座った。
あれ、どこかで見たことあるような……?
「芋、美味しかったよ」
ああ! ハンター試験の後空港まで案内してくれた人だ。
お礼で差し上げた芋を気に入ってくれたようで良かった。
「それは良かったです」
まさかこんな所で再会するとは。
マトモな男との会話は久しぶりなので少し緊張する。
「天空闘技場へ辿り着けたか気になってたんだ。無事に辿り着けたみたいで良かったよ」
「あの時はありがとうございました」
「いえいえ。でも参加はしてないみたいだね。てっきり選手として参加するために来たのかと」
「最初はその予定だったのですが、色々と事情がありまして……直ぐではないですけど、その内必ず参加します」
「その時は応援に来るよ」
「はい!」
会うのは2回目でそこまで親しくはないが、話しやすい人だな。
「そういえば自己紹介がまだだったね。オレはクロロ。 クロロ=ルシルフル 」
「ニーナです。……ただの、ニーナです」
「よろしく、ただのニーナ」
クロロはそう言って笑った。
私達アマゾネスには名字というものがないので、"ただのニーナです"と名乗ってしまった。ちょっと恥ずかしい。
「クロロは天空闘技場へ参加しにここへ?」
「ここへ来たのは、ある人を探しているからなんだ」
「ある人?」
「オレにとって、兄の様な存在_____」