第21章 不吉×ナ×予知
「首?」
「首に深い傷が見えたの……辺り一面血の海で……それで、」
「セラ、大丈夫。何も言わなくて良いよ」
だからさっきセラは私の首を押さえていたのか。
未来の私を救おうとしていたんだ。
……現在の私は死にかけたけどね。
「この未来の出来事を回避する方法があるのか分らない。だから私が見た光景と、ニーナの心当たりから回避法を探らないといけない。……でも、もしかしたらその回避する行動自体があの未来を招くかもしれない……一体どうしたらッ」
セラは頭を抱えて俯いてしまった。
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫!」
セラの声音から深刻なことだって分かっている。
でも、自分がこの先死ぬという実感が湧かないので、ついつい楽観的に考えてしまう。
2人にあまり心配をかけたくないというのもあるが……
「私が死ぬのはきっと実力不足が原因だよ!だから、今から猛特訓してその未来を変えてみせる!絶対に!」
だから安心して。
私はそう簡単に死ぬつもりはない。
死んでも生き返ってやるよ。
_____“生き返る”
ああ、さっきセラの言葉が何故引っかかったのか今漸く分かった。
“普通の死”
“未来だと思う”
“死んだことある?”
この言い方だとまるで……まるで死んでも生き返ることが出来るみたいな言い方ではないか。
それに“普通の死”ってどういう意味?
一度“敗者”となったら、永遠にその事実が変わることなどないはずなのに______