第21章 不吉×ナ×予知
「分るよ」
「「え?」」
セラの返答に、私とジェンは意味が分らずポカンとその横顔を見つめた。
「この怪我を負ったのがきっかけで、念能力を得たの」
セラは自分の目元に手を這わせながらそう言った。
ジェンとセラはハンター試験を受けていないにも拘らず、2人とも念について知っていた。
ジェンは強い男を探していたら、念の使い手に辿り着いたそうだ。
戦いを申し込んだら「素人とは戦わない」と断られてしまい、戦いを再度申し込む為に今は念を教えてくれる師匠探しの旅をしていた。
ハンター試験を受ける気はないそうで、師匠候補を見つけたら目的を達成するまで付き纏うそうだ。
セラは、顔に負った怪我が原因で意図せず念を知ることとなった。
彼女を見たとき、痛々しい目元の火傷の様な傷に息が詰まったが、本人はあまり気にしていない様子だった。
或いは、私達に気を遣って平気なふりをしているだけか。
故郷に居る時から生傷は絶えなかったが、ヘルガ隊長による骨粉砕とは違い……セラのこの傷は悪意が感じられた。
「私ね、人の過去と未来が見えるようになったの」
「……すみません。言ってることが良く分からないです」
「そのまんまの意味だろ。何故理解出来ないんだ」
こめかみ辺りを押さえて考えるが、やはり良く分からない。
そんなことが可能なのだろうか?
それよりも、何故ジェンはそんな直ぐに物事を理解できるんだ。
ジェンはまだ纏は疎か、覚醒すらしていないのに……私はもう錬まで出来るというのに!
「まだ完成してない能力だから、見たいものが見えるわけじゃないけど……試して見る?」
「うん!うん!」
「頼む」
「了解。先ずはジェンからね」
セラはジェンの肩に片手を添えると、目を閉じた。
「!?」
「ひッ」
次に目を開いた時、セラの目は白く濁っていた。
これには私だけでなく、ジェンも驚きで目を見開いた。
私はこの目を見たことがある。
______死人の目だ。
「……何も見えない」
「それってもしかして……」
ジェンの顔が険しくなる。
多分私と考えていることは同じ。
何も見えない=死
「心配しないで。過去と未来、どちらを見たいか選べないだけじゃなくて、能力自体発動する確立が50%だから。ただ単に何も見えなかっただけだよ」
「そういうことか……安心したよ」