• テキストサイズ

覇者×ト×敗者

第17章 とある民族学者の論考 Ⅰ


「ごめん。つい……」

念糸によって女の体は無数に切断されてしまっていた。

「構わない」

クロロは女が死んだことを大して気にしていなかったが、視線は未だにその亡骸に注がれている。
使用人の最期がどうも引っかかるからだ。

一見、手負いの獣が最後の力を振り絞って狩人に向かっていくように、死を覚悟した捨て身の反撃にでただけのように見えなくもない。
だが、マチの念糸の強度を身をもって知ったにも拘らず、その体が切断されるに至るまで自ら力を加え続けた。



______“自ら”……



「迎撃型(カウンタータイプ)か」

「それで納得がいくよ」

マチも使用人の最期が引っかかっていた。

念糸に捕らえられた場合、普通の人間なら体を動かそうとはしない。
否。動かすことが出来ない。
締め上げる力が身動き出来ない程に強いからだ。
下手に動けば文字通り自分の首を絞めることになる。

念糸は長さによって強度は変わるが、いずれも人体を切断する程鋭利にはならない。
なのに使用人は体を切断されてしまった。
マチが強い力を加えたとしても、本来であれば死因は絞首による窒息であり、切断はありえない。

つまり、使用人はマチの念糸を利用して自らこの結果を招いたのだ。
使用人が迎撃型(カウンタータイプ)ならこの行動にも納得がいく。

「おまけに死後発動する能力みたいだ」

亡骸から溢れ出たオーラが失った部位を修復してゆき、今度は使用人“達”となって2人の前に立ちはだかる。




「____この命をもって、貴様達を排除する」




/ 232ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp