第16章 観戦×デ×発展
‘ゲンドラ選手の高速パンチです!! しかしヒソカ選手、それを見事にかわしていきます!!’
拳と蹴りを交えた攻撃は凄いものだが、時々手で受け止めたりしてヒソカは余裕でかわしている。
「………」
「もう終わりかい?」
「まだまだ!」
先程よりも速度を増してヒソカへ攻撃を仕掛ける。
暫くかわしていたヒソカだったが、それに飽きたのかゲンドラの腹部を思いきり蹴り上げた。
「ぐあッ」
「クリーンヒット!! 1ポイントヒソカ!!」
‘防戦一方だったヒソカ選手が遂に動いたーーー!! ゲンドラ選手1ポイント取られてしまいました!!’
「もう少し攻撃のバリエーションを増やした方が良いよ。 同じパターンの攻撃ばかりで退屈だ」
「こんのッ!!」
ヒソカの挑発に乗ってゲンドラは再びヒソカへ飛びかかった。
否。
飛びかかろうとしたが、前のめりの姿勢で止まってしまった。
「体が!?」
「大きい的より小さい的の方が面白い♦︎ ボクの腕とキミのスピード、どちらが上か試してみよう」
「!」
‘ゲンドラ選手が金縛りから解放されたようです!! ヒソカ選手は何をするつもりなのでしょうか!!?’
「さて」
ヒソカはトランプを取り出し、的を狙うように目の前にかざした。
「どこを狙おうか❤︎」
「くッ」
ゲンドラが再び高速でリングの上を移動する。
ヒソカは姿勢を崩すことなくジッとトランプを構え、タイミングを見極めてヒュッと右側へと飛ばした。
「がッ、あぁ……」
それは見事にゲンドラの左腕に食い込んでいた。
‘なんということでしょう……ヒソカ選手がゲンドラ選手の腕にトランプを命中させました!! 凄い命中力!!’
「当たったのは腕だ。 まだまだ走れるだろう?」
「うぅッ」
ゲンドラは腕のトランプを引き抜いて体勢を整える。
一呼吸置いてから再びヒソカへの攻撃を始めた。
だが、もうダメだ。
ゲンドラは弱くない。
真剣に勝負へ挑んでいるが、一方のヒソカは完全に彼で遊んでいる。
ヒソカにとってこの試合はただのお遊びになっている。
ゲンドラは殺される____
そんな考えが頭を過ってしまった。
「ぐ、うッ」
今度は右脇腹に刺さった。
ヒソカの奴、足以外を狙ってるな。
「ほら、もっと速く走らないとボクのトランプはかわせないよ? くっくっく♣︎」