第16章 観戦×デ×発展
翌朝、爽快な気分で目覚めた私はいつもよりはやく天空闘技場へと向かった。
試合が待ち遠しい。
昨日まではヒソカと遭遇なんて最悪だと思っていたが、今ではすっかり真逆だ。
どんな戦い方をするんだろう?
ハンター試験で少しだけ見たが、動きに無駄が少なく戦闘慣れしているのは直ぐに分かった。
そして強いことも。だからこそ楽しみなんだ。
まぁ、自分が対戦相手じゃないからこんなにお気楽でいられるのだが。
対戦相手は大丈夫なのだろうか………ご愁傷様です。
心の中でそっと呟いた。
時間が来るまでいつものように見張りと修行を行う。
そういえば、昨日寝る時に纏を意識するの忘れちゃったな。
寝る直前までは保ててたっけ? 朝起きた時も解けてないか確認するの忘れてしまった。
いや、そもそも途中から纏の修行のことを完全に忘れてしまっていた。
反省反省。
いつもより時間の進みを遅く感じたが、遂にその時が来た。
「緊張するな」
初めて入る天空闘技場。
観戦チケット握りしめて自動ドアを潜る。
「おぉ……」
中は想像以上に広々していて騒々しかった。
「ヒソカ戦楽しみだな!」
「今回チケットを買えたのは運が良かったぜ!」
ここにいる大勢の人はヒソカの試合を観にきたんだ。
ちょうど良い。
案内板が読めない私は、彼等に着いて行くことにした。
長い廊下を進んだり、恐怖のエレベーターに乗り込み移動すること数十分。
会場らしき場所の入り口には係員がチケットの確認をしている。
列に並び自分の番でチケットを見せると、係員が驚いた顔をした。
「お客様、特等席の入場ゲートはこちらとは別の階となります。 ご案内致しますので少々お待ちいただけますか?」
「? はい」
入場ゲートを間違えた?
他の人達のチケットを覗き見ると、私が貰ったものとは少し違っていた。
しかし、間違いなくヒソカ戦のチケットのはず……
係員の隣で待っている間、恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じた。
列に並んでいる人達がヒソヒソとこちらを見ながら話しているからだ。
もしかしてまた田舎者丸出しのことをしてしまったのだろうか。
「お待たせしました!」
「あ、はい」
迎えに来てくれた係員に案内されたのは、先程いた階とは打って変わって静かな場所だった。
「こちらがお客様の観戦席でございます。 どうぞ」
「ありがとうございます」
