第16章 観戦×デ×発展
帰宅後、直ぐに姉様へと電話をかける。
「後はここを押せば……お、鳴った!」
教えてもらった通りに操作して、なんとか電話を鳴らすことに成功した。
後は姉様が応答するのを待つだけ。
〈もしもし、ニーナ?〉
「はい、私です!」
電話は上手く出来たようだ。良かった。
〈ちょうど電話しようと思ってたんだ。久しぶりだな。何か問題でもあったのか?〉
「問題という程でもないのですが、今日ヒソカとばったり会って、明日行われるヒソカ戦の観戦チケットを貰ったんです。それで、観戦の許可をもらいたくて」
〈なるほど。ヒソカの戦い方を見ておいて損にはないからなぁ……いいだろう、行っておいで〉
「ありがとうございます!」
〈それと、今日中には仕事が終わりそうだから。数日中に帰るよ〉
「はい! 待ってます!」
電話を切った後、慣れたと思っていたひとりの寂しさを少しだけ感じた。
でも、もう数日の我慢だ。
それに明日からは寂しさを感じている暇などない。
ヒソカの戦い方をしっかり観察して、倒すための作戦を考える必要がある。
ベッドに入ったはいいが、明日の試合が頭から離れなくて逆に目が覚めてしまっている。
左を向いて、右を向く。
仰向けになって、うつ伏せになる。
頭の下にある枕の位置が納得いかず、頭の上に乗せてみる。
「これ、いいかも」
流石に顔面の真上に置いたら窒息してしまうので、額から上に置いた。
頭部にかかる程良い重さはなんだか心地良い。
……そうだ、子どもの頃、眠れなかった時はいつも母様が頭を撫でて寝かしつけてくれていた。
この心地良さは、子どもだった頃に受けていた母様の愛情。
前髪をすかれながら撫でられるのが好きだったなぁ……
昔を懐かしんでいると、次第に目蓋が下がり始め、そのまま逆らわずに閉じれば直ぐに眠りへと落ちた。