第16章 観戦×デ×発展
階段を降りると、姉様が階段の前で待っていた。
「お昼を食べる前に家の中を案内するよ」
「はい!」
「ここがキッチン、こっちはお風呂。で、こっちは___」
姉様の後に続いて家の中を見ていく。
家の中はとても綺麗に整頓されていた。
案内が終わる頃、誰かが戸を叩く音がした。
玄関へ向かった姉様は、四角い箱を抱えて戻って来た。
「デリバリーで申し訳ない。 料理はあまり得意じゃなくてな」
「すごく美味しそうです!」
箱の中には、ぴざと呼ばれる平たい食べ物が入っていた。
漂う香りからして美味しいものなのは確かだ。
でりばりーというものは素晴らしい。
私達の元へ美味しいご馳走を届けてくれるなんて。
「さ、遠慮せず食べな」
「はい! いっただっきまーす!」
遠慮? この私が?
もちろんたらふく食べましたとも。
食べ過ぎて少し気持ち悪いぐらいだ……
「うっ……」
「いくら美味しいからといって、食べ過ぎは良くないぞ」
「……はい」
食べ過ぎたら気持ち悪くなると、分かってはいるのだが止められないのだ。
人間の悲しい性というやつか。
「これからの話をしようか」
姉様は姿勢を正して私を見つめた。
「私は仕事で長期間家を開けることが多い。 そこで、ニーナに頼みたいことがあるんだ」
「なんでしょう?」
姉様の頼み、私に出来ることなら喜んでやろう。
「毎日天空闘技場へ行って、アマゾネスがいないか確認して欲しい」
「え?」
アマゾネスがいないか……確認? 何のために?
疑問を口にする前に姉様が理由を話してくれた。
アマゾネスが強い男を求めて天空闘技場へ来る可能性が高いこと。
しかし、天空闘技場では200階から念を用いた戦いが行われること。
もし念を知らない者が上がって来たら、死ぬ可能性もある"洗礼"を受けることになるとも。
エッダ姉様は本当に優しい方だ……
故郷を捨てたと言っていたが、こうして姉妹(きょうだい)達のことを心配している。
それが嬉しくて笑みが浮かんだ。
「携帯から選手の情報を調べることは出来るが、ネットに載っているのは既に200階に上がった選手がほとんどでな。 私が留守の間、頼んでもいいか?」
「もちろんですとも! 任せて下さい!」
姉様が安心出来るように、私に出来ることはなんでもやろう。