第1章 初メ×ノ×始メ
村の周りで魔獣狩りをしだした私達45人は、日を追うごとに強くなった。
あれから数年が過ぎ、ちらほらとあの日旅立って行った姉様達が帰還し始めていた。
「お帰りなさい!」
「お、ニーナか! 随分見違える程に成長したな。 元気だったか?」
「はい!」
「エッダはまだ帰ってきてないそうだな…まあ、あいつは強いからなかなかお気に召すのが見つからないのかもな」
「そうかも…しれないですね。 あの! 姉様のお腹には……」
「ああ、いるよ。 本当にあの男は強かった。 また戦って、次は殺してやりたいよ。 あっはっはっは!」
姉様はそう言ったが、お腹を撫でる時の表情は穏やかなものだった。
「相応しい相手を見つける事が出来たのですね!」
「ああ! しかしお行儀良くしているのは辛かったな〜。外の世界ではこんな風に話せないからな。 常に品のある女を演じなければならん。 あんたも気をつけなよ、下手したら相手に逃げられるから」
「気をつけます」
「……本当にあのニーナか?結構雰囲気変わったよな。 良い女に成長したんだな」
「へへへっ」
姉様に褒められるのは照れくさいものだ。
確かに、数年前の様に肉!芋!と叫んでいた自分とは違う。
変わったのは、変わらざるを得なかったからだ。
男は艶やかで品があり、かつ博識な女を好むと教わった。
強さだけでは子孫を残せない。才色兼備でなければならない。
生まれ変わった自分を見て欲しくて、姉様達の帰還を知るたびにエッダ姉様ではないかと期待している。
しかし、その姉様は未だ帰らない。
私は妙齢に達し、今日この村を発つというのに。
数年前と同じように、婆様は村の入り口で私達に語りかけていた。
周りには、私達の新たな門出を祝いに母様や妹達があつまっている。
「___最後まで強く! 逞しいアマゾネスであれ!」
「「「「はっ!!」」」」
皆の声援を背にしてひとり、またひとり姿を消していく。
「私らも行こうか」
「あら、ジェン、私とセラを待ってたの?」
「そんなんじゃないわよ!? 次いつ会えるか分からないから、あなた達が寂しいだろうと思って途中まで一緒に行ってあげようとおもっただけよ」
前は言葉使いが荒かったジェンだが、何とか矯正できていた。
「そうね、ジェンは寂しがり屋だから、途中まで一緒に行きましょう」
