第13章 道しるべ
「すまない。今終わった」
「お待ちしておりました。どうぞ」
車へ乗り、走ること数十分。
「すごい……」
街から離れた大きな館に着いた。
「こちらへ」
豪華な内装の部屋へ案内されると、中には結構な数の人がいた。
「これで全員揃いましたので、今から説明を始めます」
数名のスーツの男が皆に資料を渡し終えると、私をここまで案内してくれた男が説明を始めた。
その内容は、この館の主人の誘拐された一人娘の捜索だった。
ルージュ=ラストラス。15歳。
庭をひとりで散歩するのが好きで、誘拐されたのは使用人や護衛が近くにいなかったその時だと思われる。
依頼人であるこの館の主人は、多くの宝石採掘場を有しており、誘拐犯はそこで採れた高価な宝石類を身代金として要求している。
犯人が要求している宝石の中には、世界中でまだ数個しか採掘されていない様な希少なものも含まれている。
なぜ今回ハンターに捜索を依頼したのかというと、宝石を渡すのは惜しくないが、誘拐犯の言いなりになるのが癪に障るので、無事に娘を救出した者に、犯人が要求した宝石を報酬として支払う事にしたという。
という事は、ここにいる皆もハンターなのか。
驚く事に、故郷に残して来たニーナ達より幼い少女もいた。
「それでは、よろしくお願い致します」
皆部屋からぞろぞろと出て行く。
私だけが残ったところで、ここまで案内してくれた男が近付いてきた。
「突然の依頼で申し訳ありません。貴女の噂はご主人様の耳に入ってましたので、是非とも捜索に参加して欲しいとの事でお願いに参ったのです」
そういう事だったのか。
突然だったので少し驚いたが、人探しなら役に立てる。
庭へ行き、道しるべを探す。
_____あった!!
濃く、はっきりと漂っている。
余程怖かったのだろう。早く助け出してあげたい。
この誘拐事件は内部の人間が関わっている可能性が高い。
ルージュが庭で散歩する時、いつもひとりだと知っているのは内部の人間……まぁ、毎日観察に来ていたまったく無関係な人間の可能性もあるが……犯人を捕まえれば分かる事。