第13章 道しるべ
“ハンター協会本部”
そこで“ハンター”の存在を知った。
一番最初に辿るべき道しるべきだったな……と、少し後悔。
ハンターライセンスがあれば、2回目の捜索で何か進展をもたらしてくれるかもしれないと思い、試験を受けて無事合格する事ができた。
そのおかげで交通機関を無料で利用できる様になったのは助かった。
再び日銭を稼ぎながら、道しるべを全て最初から辿っていこう。
私は主に店の警備で日銭を稼いでいる。
品物を盗んだ盗人を探し出して捕まえたのがきっかけだ。
あの時の盗人の道しるべは濃く、はっきりと見えていた。
そういえば、幸せに暮らしていた母様や姉様に続いていた道しるべは、細く薄かった。
……負の感情の方が強く残るのかもしれない。
追放された母様の道しるべが濃くなかったのは、追放された事に対して負の感情を抱いていなかったからか……?
「エッダ!戻ってきたのかい!」
「お久しぶりです!実は、仕事を探していて……」
「大歓迎さ!」
以前雇ってもらった店で、しばらく働く事にした。
この辺りは治安が悪く、犯罪は日常茶飯事に起きている。
短期間で結構な数の盗人を捕まえた。
そのおかげで、地元ではちょっとした有名人になってしまった。
「エッダが戻って来たよー!」
「これで安心出来る!」
「また、よろしく頼むよ!」
「はい!」
私がここへ来る以前は、品物を盗まれたら諦めるしかなかった店主達。
こうやって頼りにされるのは嬉しいものだ。
ある日、いつもの様に警備をしていると、
「エッダというのは貴女ですか?」
「そうですが?」
黒いスーツに身を包んだ男が話しかけてきた。
「頼みたい仕事がございます。ご同行願えますか?」
「え?」
そんな急に言われても、私は既に雇われている。
困っている様なら力になりたいが、仕事を途中で放置する訳にはいかない。
「すまない。今は仕事中なんだ」
「お仕事が終わるまでここで待ちます。ですので、その後は……」
余程困っているのだろうか。
「分かりました」
直ぐにでも力になってやりたいが、店主達も私を必要としているので待ってもらう事にした。