第12章 君にさよならを
今日はニーナをウボォーギンに会わせる日。
頼まれた手伝いを全て終え、ニーナを迎えに行く。
「エッダ、今日は特に手伝う事はないから、遊んでおいで」
「どうしてもニーナに会いたくて」
「そうだったのか」
姉様は嬉しそうにニーナを抱っこさせてくれた。
「ちょっとこっち手伝ってくれない?」
「ああ。エッダ、悪いがしばらくの間ニーナを頼めるか?」
「はい!」
姉様が急に呼ばれたため、私とニーナは2人きりになった。
なんて言い訳をして連れ出そうか考えていたが、これなら問題なく連れ出せる。
周りに誰もいないのを確認し、境界線へ向かう。
「よい、っしょ」
柵の間を通り抜け、洞窟まで小走りで進んで行く。
もうすぐ、もうすぐウボォーギンに会える。
ニーナを見たらどんな顔をするだろう。
反応が楽しみだ。
洞窟に辿り着き、ウボォーギンを呼ぼうとしたその時、
「エッダ!!」
「!?」
突然背後から呼ばれ、驚いて振り返るとそこには3人の母様がいた。
「最近、手伝いの後あまり姿を見ないと思ったら、まさか境界線の外に出ていたのか」
「なぜ外に出た?なぜニーナを連れている?」
「正直に答えなさい」
「わ、私はただ、ウボォーギンにニーナを会わせたかっただけ……」
そう答えれば、母様が眉間の皺をさらに深くした。
「ウボォーギンとは誰の事だ?」
そう問いかけられた同時に、ウボォーギンが洞窟から姿を現した。
「エッダ?どうしたの?」
ウボォーギンを見るや否や、母様達が驚いた表情を浮かべた。
「あの子は誰だ?」
「見た事ない……」
「婆様の元へ連れて行こう。エッダ、ニーナを渡しなさい」
「はい……」
言われた通りニーナを渡し、母様の後について歩く。
ウボォーギンと共に村へ連れ戻され、皆が中央の広場へ集められた。
ウボォーギンは顔を強張らせて怯えていた。
少しでも安心出来る様に手を握ろうとしたが、母様に腕を引かれ、引き離された。
「何事じゃ?」
「婆様、この子どもを村の外で「ウボォーギン!!」」
ひとりの母様がウボォーギンの元へ駆け寄った。
「その子を知っておるのか?」
「……はい」
「その子は……男じゃな」