第13章 鯉登家にお泊まりに行こう
を男だと偽らせる事に罪悪感を感じて自分の娘であると向き合えなかったのかなとは思っていた。
だから鯉登一家の仲睦まじい光景が微笑ましかったし、羨ましかった。
「そうじゃ!
勇作!!
はよおっかんの作ったつけあげとさつま汁をたもってくれ!」
音之進は当初の目的を思い出したようでに空いている椅子に座るよう促す。
「勇作君はまだ荷物を持ったままじゃらせんか」
「あ…………」
平二の指摘にが荷物を持ったままな事に初めて気がついた音之進はしょんぼりと落ち込む。
「すまん。
荷物持ったまま連れまわして大変やったじゃろ……………?」
申し訳なさそうに音之進がに謝る。
「いや。
陸士で鍛えられてるからこのくらいへっちゃらさ」
は落ち込む音之進を励ますように言った。
「ご飯ん準備はしちょくで先に部屋に案内してあげやんせ」
ユキの提案に音之進は元気よく返事をするとまたの手を掴んで駆け出した。
「勇作ん部屋はおいん部屋んつっだ(隣だ)!」
「そんなに急がなくても部屋は逃げないと思うよー??」
そうは音之進に声をかけたが、聞き入れてもらえず、部屋まで走らされた。
そして案内された部屋に荷物を置いたは音之進と共に居間に戻って来た。
ちょうどユキが作った料理を食卓に並べている所だった。
「お手伝いします」
はユキから料理が載ったお盆を受け取ろうとした。
「あら。
あいがと。
でも男ん子にこげんこっさせられん」
ユキが静かに首を横に振った。