第3章 女だってカミングアウトしたらフラグ回避できるんじゃない?
は目が覚めてから毎日、どうしたら自分が尾形に殺されないか考えていた。
そしてある日思いついたのだ。
「女ってカミングアウトしたら軍人にならなくて済むんじゃ……!?
そしたら尾形に会うこともないし、戦争に行かなくて済む!!」
我ながら名案だとは思い父、幸次郎に話そうとなったのだ。
性別を明かすことが名案なのかを説明するとこの時代、軍に入れるのは男性のみだったからだ。
(従軍看護婦としてなら女性も軍に入れた)
「……………実は父さまに伝えねば、と思いながら伝える事をずっと迷っておりました」
「なんだ?
申してみよ」
は大きく深呼吸をし、決意した。
「母さまが死の間際に言ったのです。
私は…………私は男ではなく本当は女だと…………」
の言葉にそれほど衝撃を受けたのか、幸次郎はお茶を飲もうとして持っていた湯のみを畳の上に落とした。
畳に湯のみの中に入っていたお茶が染みて行く。
「…………それは本当か…………」
「はい。
嘘でこのような事は言いません。
信じられないのであれば、脱ぎましょうか?」
は着物をいつでも脱げるように手をかける。
だが、幸次郎は左手で顔を覆うと、脱がなくていいと言わんばかりに右手をの前に無言で突き出す。
「なんてことを…………」
そう言って幸次郎は頭を抱えた。
「父さまの立派な軍人になるというご期待に添えず申し訳ございません」
はそう言って頭を下げた。
正座した状態のまま頭を下げたので土下座しているような体勢になる。