第3章 女だってカミングアウトしたらフラグ回避できるんじゃない?
が花沢 勇作として生まれ変わったことが判明して1週間が経った。
つまり彼女の今世での母親が亡くなってから1週間が経った。
そして今、は今世での父、花沢 幸次郎ととある一室で囲炉裏を挟んで2人座っていた。
(幸次郎は胡座で、は正座して座っていた)
(あー………。
何から話せばいいのか…………!
自分の言葉のボキャブラリーの少なさには嫌になる………!!)
は表情には出さないようにしていたが、幸次郎と2人っきりのこの状態に緊張していた。
(だいたい私が死ぬのってこの人のせいなんじゃないの………?
この人が尾形のことをきちんとしてたら勇作は殺されることなかったんじゃないの…………??)
はまだ会ったことのない幸次郎と妾の間に産まれた異母兄、尾形 百之助の事を考えていた。
何故ならの知っているゴールデンカムイの話では、勇作は戦争のドサクサに紛れて尾形に殺されるのだ。
(なんか考えてたら腹たってきた。
そもそも奥さんいるのに別の女性と関係もつなんて浮気じゃん。
この時代じゃ当たり前なのかもしれないけど…………。
私は許せない)
の前世が今世から100年以上後だったからか、幸次郎が妻がいる身でありながら妾がいた事実に嫌悪感を抱いているようだ。
「どうした勇作。
何か話があったんだろ?」
沈黙を破ったのは幸次郎だった。
「はっはいっ!!」
幸次郎に話しかけられては腹をくくった。
自分の性別が女であることを幸次郎に明かすことを。
なぜ、が幸次郎に女だと明かすようになったか。