第12章 函館で三輪自動車に轢かれかけたと思ったら誘拐された
達の隣に停まっていた馬車の扉が急に開き、中から帽子を深く被り目の下まで布で隠した男2人が出てきた。
それぞれのが音之進との顔を布で覆い隠す。
音之進とは抵抗しようとしたが腹部を強く殴られて気絶した。
気絶した2人を男達は馬車に乗せるとその場から素早く去って行った。
「……………うっ………ここは……?」
どこかの家の中の一室のようでは両手を縛られ転がされていた。
男に殴られた腹部が痛む。
「起きたか」
は声がした方を見ると音之進がと同じように両手を縛られて座っていた。
「ここがどこだか分かる?」
「検討もつかん」
「弱ったなぁ…………」
音之進の言葉には思わずため息をついた。
「あん男達ん狙いはなんじゃろう?」
「私か君の家族に何か脅迫をしたいんじゃないかな?
まぁ私の考えでは君の家族の方だと思うけど」
「おいん家族?
ないで分かっ(何で分かる)?」
「私は普段は東京にいて今日函館に来たんだけど、私を誘拐するなら1人で移動中の時を狙うほうが拐いやすい。
君、毎日同じ時間ぐらいに同じ道をあの三輪車で走ってたりするんじゃない?」
「そうじゃ。
だいたい同じ時間、同じ道じゃ」
の言葉に音之進は頷いた。
「犯人達の狙いは君と君の家族。
誘拐されるような心当たりある?」
「………………父上が海軍ん大佐じゃ」
「なるほど。
お金目的か父親に恨みを持ってるか………もしくは父親に何かを脅迫しようとしているか…………」
はぶつぶつ呟きながら考える。
その様子を音之進はジッと見ていた。