第12章 函館で三輪自動車に轢かれかけたと思ったら誘拐された
「そこの三輪車ァァ!!
停まれェェェ!!!!!」
怒ったは三輪自動車の少年を走って追いかける。
だが、三輪自動車の少年はに気づかないのかそのまま走り続ける。
「このヤロー!!」
は三輪自動車の後ろの部分に人が1人立って乗れそうな場所を見つけるとそこへ飛び乗った。
「停まれって言ってるのが聞こえないのっ!!?」
は少年の耳元で三輪自動車のエンジン音に負けないように叫んだ。
「キェェェッ!!
誰だ貴様ッ!!?」
少年はの存在に驚き後ろを向いた。
「ちょっと!
ちゃんと前を向いて運転しないと………!!」
危ないとが言おうとした時だった。
少年とが乗った三輪自動車が馬に乗り帽子を深く被り目の下まで布で隠した男とぶつかりそうになり、少年は慌ててブレーキをかけた。
タイヤからギャギャーッと嫌な音が鳴ったが馬に乗った男とはぶつからずに停まることができた。
「邪魔じゃ!
早(はよ)そこをどかんか!」
少年が馬に乗った男へ言った。
だが、馬に乗った男は無言のまま少年を見つめる。
「よそ見をしてぶつかりそうになったのはこっちなんだからちゃんと謝りなさいっ!!」
は少年の肩を掴んだ。
「せからしか!!」
少年はを睨みつけた。
少年の顔をまともに見たは思わず驚いた。
(鯉登少尉だっ…………!!
何で函館にいるの?
少尉って鹿児島出身じゃなかったっけ………?)
少年もとい鯉登 音之進が函館にいる事に疑問を抱く。