第9章 エビフライに限らず転生してから洋食が恋しいです
「何だと?
知らねえのか!?
じゃあ食ってこいや!!
帝国ホテルで!!
そんでどっちか選べよ!!!」
の胸ぐらを掴んだまま男はを跪かせる。
「帝国ホテルのエビフライ?
食べてみたいとは思ってるけど!
それが今何の関係があるの!!?」
は跪かされてはじめて軍帽を深く被っていた男の顔がよく見えた。
「え!?
杉元!!?」
「えっ!!?
俺を知って…………!!?」
に名前を呼ばれた男、杉元 佐一は驚きから手を離す。
驚きすぎて思わず声に出してしまった事をは後悔しながらは立ち上がる。
(何で主人公の杉元がどうしてここに!?
杉元は確か一等兵のはず………)
混乱しながらは杉元が着ている軍服から被っている軍帽を見た。
そして見つけてしまった。
杉元が被っている軍帽に小さな縫い目があるのを。
「その軍帽、菊田軍曹殿の…………?」
「え?
違いますけど」
の言葉に杉元は慌てて軍帽の鍔を触る。
「その小さな縫い目はこの前の射撃訓練の事故で出来た穴のはず」
「貰ったんです。
ごきげんよう。
さようなら」
杉元は自身の状況が悪くなったと思いから逃げようと背中を向けた。
「貰った?
それは日清戦争で亡くなった菊田軍曹殿の弟さんの軍帽のはず。
逃げないでください。
あなたと菊田軍曹殿はどういう関係ですか?」
は杉元を逃がさないように行く手を阻む。
杉元はから目を逸らす。
「分かりました。
あなたは私の本音を知りたがってましたね。
話すのでそちらも教えてください」
後にこの時の事を杉元に聞くと絶対に逃がさないとの顔に書いてあったらしく観念したそう。