第2章 蘇る前世の記憶
「もし………もし………この先、あなたが女として生きることになるなら名前は……………………。
愚かな母のせいで………あなたには苦労を………。
償いきれないことをしたわ…………」
そう言って母親は目を閉じた。
「母さま…………?
母さま…………!!?」
勇作はいくら呼んでも目を開けない母親の体を揺さぶる。
勇作の声が聞こえたのか、部屋の外にいた医者が慌てて中へ入ってきた。
医者は勇作に母親から離れるように指示を出すと母親に処置をし始める。
母親から離れた勇作は先程、母親に言われたという名前に引っかかっていた。
どこか聞いたことのある名前…………。
そんなことを考えている時だった。
ピカッ!!
急に勇作の目の前に強い光が光った。
そしてその強い光と一緒に不思議な光景が勇作には見えた。
土とは言えないような色をした地面に光る大きなものが自分に突っ込んでくる、そんな光景が勇作には一瞬、見えた。
「あ…………あぁっ!!」
突然の頭痛が勇作を襲った。
勇作は耐えきれず、頭を両手で抱えてその場に倒れこんだ。
「勇作さん!?」
母親を見ていた医者が驚きの声をあげる。
そして、勇作は医者が一生懸命、自分を呼ぶ声を聞きながら意識を手放した。
「……ここは……………」
勇作は辺りを見回した。
「見たことも来たこともないはずなのに…………どこか懐かしく感じる」
勇作のいる部屋の床は畳ではなく木の板で、ベッドと机と本棚が置かれていた。
部屋に置かれたもの全てが初めて見るもののはずなのに勇作はどこか懐かしさを感じていた。
その時だった。