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私だってチタタプしてヒンナしたいっ!

第2章 蘇る前世の記憶




「ゴホッ………ゴホッ…………。
勇作さん………」


とある屋敷の一室に敷かれた布団に横たわる女性が近くにいた幼い子供を呼んだ。


「母さま………」


呼ばれた子供、勇作は不安そうに布団に横たわる自分の母親を見つめる。


「私は………あなたに謝らねばならないことがあります。
ゴホッ…ゴホッ………!!」

「奥様、それ以上喋るとお身体に………」


母親の近くにいた医者が安静にするように促す。
だが、母親は静かに首を横に振った。


「自分の身体です。
もう………長くはないのがわかります…………。
この子と2人っきりにしてもらえませんか………?」


医者は少し考え込んだ後に、ペコリと軽くお辞儀をすると部屋から出て行った。
部屋には母親と勇作の2人っきりになった。


「勇作さん………。
母はこの通り、もう長くありません。
あなたにはいろいろ伝えないといけないことが沢山あります………」


そう言って咳込む母親を勇作は心配そうに見つめる。


「…………勇作さん、あなたを今まで花沢を継ぐ跡取りとして厳しく育ててきました」

「はいっ!
父さまのような立派な軍人になれるよう、これからも精進してまいります!!」


勇作は今にも泣きそうな表情だったが、母親を心配させまいと明るく振る舞うように言った。
だが、母親は静かに首を横に振った。


「全てはこの母が悪いのです…………。
あの人を………妾に取られたくない一心で女の子に産まれてきたあなたを男の子だと偽ってしまった……………。
本当にごめんなさい………」


そう言った母親の目尻に涙がにじんだ。


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