第6章 いやいやいや、何でこの人がここに………!?
「俺達も今日から陸士かぁー」
大和はしみじみと言った。
あれから月日は流れ、と大和は陸軍幼年学校を首席、次席で卒業した。
(とてもにとっては不本意だが、が首席で大和が次席)
そして2人は今日から陸軍士官学校へと入学する。
ちなみに大和の言っていた陸士は陸軍士官学校の略称だ。
(あのクソヤローめ…………。
いつの間に陸士への入学手続きをしていたのよ……………)
は空を眺めながらクソヤローもとい父である幸次郎の悪態を心の中で呟く。
余談だが、陸軍士官学校の入学をが拒否すると思った幸次郎は教官達と手を組み、を騙して陸軍士官学校の入学試験を受けさせていたのである。
ちなみに未だには自分が騙されて入学試験を受けていたことに気がついていない。
「やはり陸士になると訓練も今までよりも一層厳しいものになるんだろうな!
楽しみだな!!
勇作!!」
笑顔でに向かって言う大和。
(訓練が厳しくなるっていうのに楽しみなんてドM……………?)
はそう思いながら大和に対して曖昧な返事をする。
「勇作」
は自分を呼ぶ声に心の中で舌打ちをしたくなったが、周りに人がいる為、表情も崩さないように振り返った。
「お久しぶりです。
父さま」
が振り返った先には幸次郎と軍服を着た見知らぬ男が立っていた。
恐らく幸次郎の部下だろうとは思った。
「は、花沢中将殿!
この度は昇進おめでとうございます!!」
大和はガチガチに緊張した面持ちで敬礼をし、言った。
「あぁ。
ありがとう。
君は 大和君だったな。
いつも勇作から話は聞いているよ」
幸次郎は大和に対してそう返した。