第4章 あれれ〜?おかしいぞ〜??
「それは君が花沢 勇作だからさ。
君の噂を聞いて手合わせをしてみたいと思っていたんだ」
少年の言葉には、
(私の噂って何!?
目立たないように今まで大人しく過ごしてたはずなのにっ!!)
自分の噂の存在を聞き、それがどんなものか気になってしまった。
「それとも自信がないのかな?
あの花沢准将の息子なのに」
そう言って少年はニヤリと笑った。
「5年前の日清戦争で大活躍し、軍神と称えられた花沢准将の息子とは思えないほど気弱なのか?」
の父である花沢 幸次郎は日清戦争で活躍し、その功績は軍神と呼ばれるほどであった。
(どいつもこいつも花沢の息子、息子と………!!)
の木刀を握る力が強くなる。
実は陸軍幼年学校に入学して以来、教官達も生徒達も幸次郎とを比較して見ており、はそれがストレスでしかなかった。
何度も軍神、花沢准将の息子にしては出来が悪いと陰口を言われた。
それもワザとに聞こえるように。
その溜まりに溜まったストレスが、少年の言葉で爆発した。
「その勝負、受けて立つ!」
「!!
そうこなくてはな!!」
の言葉に少年は嬉しそうにニヤリと笑った。
「素振り止めっ!!
これより2人1組を作り、順に手合わせをする!」
教官の言葉にと少年は顔を見合わせた。
他の生徒達も2人1組を作り始める。
「誰からやりたいか立候補はいるか?」
「はいっ!」
教官の言葉に手を挙げたのは少年だった。
「私と花沢からやらせてください」
「よかろう。
2人とも前に出ろ」
教官が頷きながらそう言うと少年とは前に出る。