第13章 かしゅがやま
「...で佐助、あの天使は何時までここに滞在するんだい?」
「(天使...)例の事件が収まるまで、と言われましたので、ざっと見積もって1ヶ月以内かと」
心なしか目がキラキラしている信玄。大方、甘味で釣る気でいるのだろう、甘やかす気満々のようだ。
「佐助、部屋を用意しろ。幾ら金をかけても良い、上質な着物や家具を準備しろ。それから玩具でも与えてやれ。安土に帰りたくないと言わせるほどのな」
「(うわースイッチ入っちゃったよこの人)...わかりました」
やるからにはとことん突き詰める、ちょっと行き過ぎたこともある上司だが、完全な鬼ではない。
...しかし、
(この二人って、ロリコンだったのか...?)
たった2回顔を合わせただけの、しかも敵方の大将が溺愛する少女をここまで気にかけるなんて、雪月の生い立ちが同情を誘ったのがあるにしても普通じゃ考えられない。
女好きと女嫌い、相反する二人だが...
(信玄様、女なら年齢関係なくイケるってことですか...?謙信様、大人の女は駄目で子どもならOKなんですか...?)
ある意味面倒臭い女性関係を抱える二人のハートを射止めたのがまだ幼い、しかも半分ポケモンである少女だったとはと頭を抱えたくなる反面、雪月ちゃんすげぇと思う佐助だった。
数分後。春日山城の広間にて。
「...改めて、雪月ちゃんです」
佐助に抱っこされながらではあるが雪月は謙信と信玄、そして幸村と面会していた。
「ほら、雪月ちゃん、」
「......おだ、ゆづきでしゅ」
佐助の服をぎゅっと握り、恐る恐るといった感じでこちらを見る雪月。未だ佐助以外には馴れていないその様子に相好を崩したのは信玄だった。
「ようこそ、安土の小さな姫君。俺は武田信玄だ」
「......し、ん...しゃま?」
こてん、と小首を傾げる雪月。