第13章 かしゅがやま
「流石信玄様。警戒していた雪月ちゃんをあっという間に陥落させるとは」
「いや、チョロすぎだろアイツ」
雪月は信玄の膝の上でお腹を見せ、完全にリラックスしている様子。
あっという間に春日山の面子に慣れた様子の雪月に、佐助はホッと胸を撫で下ろすのだった。
そして数分後。
「......zzz」
しばらくの間信玄に撫でられ、兎達と遊んで疲れたらしい雪月は、いつの間にか人間の姿で謙信の膝の上で寝息を立てていた。
「...眠ったか」
「寝顔も愛らしいな。俺の妹として育てたいくらいだ。それこそ信長のところに帰すのが惜しいぐらいにな」
「ならば帰さなければいいだけの話だろう。ついでに信長も倒せば雪月も手に入るし、俺も戦が出来る」
「成程な」
「止めてくださいよ信玄様、謙信様」
何やら物騒な話をする大人二人にすかさず幸村がツッコミをいれた。
「万が一雪月ちゃんを傷つけたら、と言う書状を信長様から預かってます...どうぞ」
「佐助、それ最初に出すべきだったんじゃねぇの?」
「.......ククッ」
「謙信様?」
書状を読んだ謙信が笑い声をあげた。
「あやつめ、『雪月を帰したくないのであればそれでも良い。それで雪月の笑顔を絶やさぬ自信があるのならばな』、と...」
「随分と自信ありげだな」
(...いやだって雪月ちゃんが一番なついてるのって信長様ですしおすしby佐助)
「佐助、何か言ったか?」
「いいえ、何も」
少し春日山の武将達に慣れた様子の雪月ではあったが、これで万が一にでもホームシックを起こしたらどうなるのだろうか、そしてやっぱりうちの上司達はロリコンの気があるのではと、ちょっと先が怖い佐助であった。