第12章 ほーこく
信長が屋根から降りるのに四苦八苦する一方で、佐助一行が春日山城に着いたのは夜中だった。
流石に雪月も寝てしまっている。
起こさないようにそっと抱き抱え、リザードンの背からひらりと降りる。
「...お疲れ様、リザードン。しっかり休んでくれ」
「ガルゥ」
長時間の飛行をガンバってくれたリザードンを労い、ボールに戻す。
リザードンのボールを一撫でし、さてこれからどうしようか?もう夜も遅いし報告は明日にしよう、取り敢えず部屋に戻ろうかとプランを組み立てた瞬間だった。
「...佐助、こんな夜更けに何処へ行っていた?」
「おや、佐助じゃないか。任務だったのか?」
「おー佐助、何処行ってたんだ?んな時間に」
(まずい(-_-;)...)
思わず顔文字表記してしまう佐助。
声の主達の顔を全力で見たくないと思ったのは何時以来だっただろうか。
「...佐助、答えろ。答えなければ斬る」
「ん...?佐助、何を持ってるんだい?」
「佐助、何だよその白いの?」
「...すみません謙信様、信玄様、幸村、事情は明日話します...では、これにてドロン」
「待て、佐助!」
「ゲホッ、ゴホッ...くそっ、何で煙玉使ってまで逃げるんだよアイツは」
「明日、問い詰める。そして斬る」
「...お前はそればっかりだな、謙信」
煙玉を使い謙信達から逃げる佐助。
「......zzz」
しかしそんな騒動の最中であっても佐助の腕の中の雪月は、まぁそれは穏やかに眠っていたのだった。
そして、次の日の朝には、安土城に負けず劣らず、蒼玉姫作品恒例の絶叫が響き渡ったというのは、何かもう、お約束、ですかね?