第12章 ほーこく
「貴様を佐助の元に預けるのは、貴様が邪魔になったからではない...これだけは、しかと覚えておけ」
「!あい」
『捨てられるんじゃないか』、そう思っていたらしい。
それを信長は見抜いていたらしい。
「...行ってこい雪月」
「あい...いってきましゅ」
最後にしっかりとハグ。
この光景を見ていた佐助は思った。『...何だか俺、悪役っぽいな』、と。
数分後。
しっかりと別れのハグを堪能した信長達は天主の屋根の上(?!)にいた。
因みに、佐助の隣にはリザードンがスタンバっている。初めて見るリザードンに興味津々の信長(目がキラキラしてたBy佐助)がいたとか。
「では佐助、雪月のことを頼んだぞ」
「はい、信長様」
「雪月、忘れ物は無いな」
「あい、にいしゃま」
「...では、俺達はこれで...リザードン、空を飛ぶ!」
「ぁ...」
大きな翼を広げ、飛び立つリザードン。一瞬目線が合った雪月の小さな声が聞こえたが、何と言っていたのかわからない。
そしてその姿はものの数秒で夜の闇に紛れた。
「...」
その様子を無言で見送った信長。
...しかし、彼はとんでもないことに気づいた。
「...どうやって降りれば良いのだ?」
信長様の現在地:天主の屋根の上
数分後。
軍議に多少間に合わなくても、と考えながら、ガンバって屋根から降りようとしている信長がいたとかなんとか。
...因みにこの一件は秀吉の耳に入ることは無かった。