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ゆるやかな速度で

第4章 3.再会


「何してん!?ここはみんなのもんやろ!?」

金太郎くんがそう言うと、元々彼を見知っていたのか少年たちはたじろいていた。
私と遥斗はその光景を目にして、どうして良いか分からず棒立ちのままだった。
でもそんな私達に金太郎くんが笑顔で遥斗の作っていた砂のお城を指さして褒めてくれる。

「めっちゃ凄いやん!!ワイも一緒に作ってええか!?」

その言葉に先程まで不安そうにしていた遥斗はみるみる笑顔になっていく。
「うん!」と元気よく答えると金太郎くんも直ぐに砂場に座り込んで砂を集めてくれる。
そして私の目の前で2人は一緒に大きな城を作り始める。
先程まで私達に意地悪をしてきた男の子達もいつの間にか近くにやってきて私達に謝罪をして一緒に作って良いかとお願いされると、遥斗も金太郎くんも笑顔で「いいよ」と返事をしたのだった。
私は砂場の近くのベンチに座り直して彼らが作り上げるお城を眺めていたのだった――。

「という事があってね、私どうして良いかわからなかったから凄く助かったの」
「せやったんか」
「うん」
「そんな事もあったかもしれへんなー?」

私の話を聞き終えても金太郎くんはあまり覚えていない様でワハハなんて笑う。
私はその天真爛漫さを見て、遥斗を思い出していた。
そう言えば、遥斗は最近少しだけ金太郎くんに似てきているかも?なんて私が考えていると、金太郎くんが白石くんが肩に背負っていたバッグを指を向けて質問する。

「兄ちゃん、テニス部なん?」
「そうやけど」
「丁度良かったわ!テニス部の部室行こうと思って迷ってもうて」

アハハと笑いながら金太郎くんがそう答える。
それを聞いて私は何で先程外から金太郎くんが入ってきたのか理解した。
多分迷ってそのまま一旦学校の敷地から出てしまって間違いに気付いて返ってきた所に私とぶつかってしまったのだろう。

「入部希望って事でええか?」
「せやで!テニスめっちゃおもろくて!やろうと思ったん!」

私が1人で先程の事を思い出している横で2人の会話が弾んでゆく。
私がいなくても白石くんがいればテニス部へは問題なく辿り着く事が出来るだろうと私は判断して帰るために2人に一声かける。

「じゃあ、私は帰るね」
「えー!【名前】も折角やしテニス部行こうや!」
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