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ゆるやかな速度で

第4章 3.再会


「こんな所でどうしたの?」
「それはこっちの台詞や!なんでここにおるん?」
「それはこれから帰ろうとしてたからだけど…」

私が正門から出ようとした所でぶつかってしまったので、私達の今いる場所は学校の正門だった。
金太郎くんは外から入ってきて、私は家に帰るために出ようとしていた所でぶつかってしまった様だった。

「ちゃうちゃう!なんで学校におるん?」

でも彼が私に聞きたかったのは、そっちではなかった様だ。
どうして正門にいるのかではなく、学校にいるのかの方だったらしい。
それはつまりどうして四天宝寺中学校にいるかの方なんだと思い至る。

「私も四天宝寺中学校の生徒だからだよ」
「そうやったんか!ワイとした事が知らんかった!」

金太郎くんが私の台詞に驚いて酷く落ち込んだ声をあげる。
私はそれが面白くて思わず笑ってしまった。
そして遠山金太郎という少年は私と遥斗が出会った時のままの様でとても懐かしくなる。

「金太郎くんも四天宝寺中学に入学したんだね」
「せやで!じゃあこれからは【名前】に学校で会えるんか!?」
「学年は違うから毎日は厳しいかもだけど、そうだね」

私がそう答えると金太郎くんは嬉しそうに笑った。
昔と変わらずにお日様の様に笑う彼につられて私も微笑む。
金太郎くんはほんの少しだけ大人っぽくなっただけで、やっぱり出会った時の様にキラキラと純粋なままなのだと私は嬉しくなった。
そんな事を考えていると、驚いた声が私達の後ろから聞こえて来る。

「自分ら、こないなとこで何してるん?」

振り返ると驚いた表情で私達を見ている白石くんと目が合う。
私は何故そんなにも驚いているのか最初は理解することが出来なかった。
でも、白石くんの突っ込みにくそうな表情と声で「そのな…めっちゃ注目されとるで?」という言葉で、ふと我に返る。

白石くんの言葉に驚いて辺りを見ると、確かに数人の生徒がこちらを驚いた表情で見ていた。
よく考えて見ればここは学校の正門で、大体の生徒がまだ部活動の最中だからといって、私のように帰宅部の生徒もいるし、部活が活動日じゃない生徒もいる。
そういった生徒は普通に帰宅をするためにここを通る。

私と金太郎くんは先程からずっと話している。
そう、金太郎くんが私に抱きついたまま…。
確かにこんな格好の生徒が正門にいたら通りにくい。
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