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ゆるやかな速度で

第4章 3.再会


そしてその白石くんと言えば、彼は私の想像以上女の子達に影響力があったようで、休み時間になるたびに色々な女の子に彼との関係を聞かれてしまった。
いつの間にか他のクラスにも話が広がったのか、前に同じクラスだった子たちにも廊下で呼び止められてしまい話を聞かれるという事態になってきてしまったことには驚いてしまった。

私のせいで何か白石くんが嫌な思いをしてなければ良いけど…と不安になる。
あまりに色々な子に話しかけられるから休み時間にあまり白石くん自身とは話が出来なかった。
何だかその事が少しだけ寂しく思えた。

別に今まで私と白石くんは学校で話したことなんてほぼ無かったはずなのに。
それが普通だったはずなのに何で今、そんな風に思ってしまうのだろうか?

私は自身の中に芽生えた気持ちが理解出来なかった。
何故私は今、白石くんと話せなくて寂しいだなんて思ったのだろう。

そう思った瞬間にドンっと誰かとぶつかった衝撃が自身に走った。
きちんと前を見ずに歩いていたのがいけなかった。
私は誰かとぶつかった衝撃で少しだけ後ろによろめく。
ぶつかった相手をきちんと見る前に咄嗟に相手に謝罪をした。

「ごめんなさい」
「ワイこそ!」

謝罪をすると相手からも元気の良い声が返ってきた。
だけどその声は遠い昔に聞いた記憶があるもので私は声の主を見るためにちゃんと前を見据える。

きちんと前を向くと、そこには私にぶつかった男の子がこちらを驚いた表情で見ていた。
私より少しだけ小さい背丈。
大きな瞳がキラキラとしていて純粋な目。
見覚えのあるヒョウ柄のタンクトップ。
私が昔に出会った時より、ほんの少しだけ大人っぽくなった男の子がそこには立っていた。

「…金太郎くん?」
「あー!!!!【名前】!!!」

金太郎くんが驚いて私の名を叫んでから、ぎゅっと私に抱きつく。
抱きつかれるとは思わなかったので、不意をつかれた私は後ろによろめいてしまうが何とか踏みとどまり倒れる事はなかった。
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