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ゆるやかな速度で

第12章 10.休暇


「まぁ、そんな感じやから俺のこと自体はほんまに気にせんでもらってええんやけど」

そう言って白石くんが私の言葉を伺う。
なので私は白石くんの言葉に甘えることにし『白石くんさえ良ければ』と返事をしたのだった。
私の言葉を聞いた白石くんは『ありがとうな』と嬉しそうに微笑んでくれる。
それを見れ私も嬉しくなり微笑み返す。

こうして私達は図書館の中へと入る。
それからの私達はお互いに興味のある分野の本の棚に行き、おすすめの本を紹介しあったり、席があいていれば軽く読書をして過ごした。
最終的にはおすすめしあった本をお互いに借りて図書館を出たのだった。

「本当に色々とありがとう、白石くん。おすすめしてもらった本、読んでみるね」
「ええって。俺の方こそめっちゃ気分転換になったわ。ほんまにありがとうな」

私が気にしなくて良いようになのか白石くんは『気にせんでええよ』と笑ってくれる。
その優しさが嬉しくて私も自然と白石くんに微笑み返す。
そんな優しい時間が心地よいと思っていると、白石くんが『あ』と小さな声をあげる。
私はどうかしたのだろうか?と彼を見ると、白石くんが『もう何個所かも付き合うてもろうても?』と問われ、私は時間を確認する。
図書館で過ごした時間は予想より長かったけれど、まだ門限の時間ではないので私は彼の言葉に頷いたのだった。

そこからは白石くんがいつも皆と部活が早めに終わったら行く場所を案内される。
本屋さんに、たこ焼き屋さんに、スポーツ用品店が入っているショッピングモールなど、様々な場所ばかりだ。
綾子ちゃんと行ったこともある場所も含まれていたけれど、綾子ちゃんと来ている時とは違った視点で色んな場所を巡ることが出来て楽しかった。
私たちは駆け足で色んな場所を巡ってから、最終的に公園のベンチで一休みで腰を掛ける。
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