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ゆるやかな速度で

第11章 9.合宿03


「とりあえず【名前】を部屋に運ぼう思おうとるんやけど」
「こっちの事なら任せとき」

俺がそう告げると、ケンヤがニカっと頼もしく笑う。
その横で小春、ユウジ、小石川や銀も静かに頷く。
頼もしい仲間持ったなと俺は皆に『宜しく』ちゅー意味を込めて俺も頷いてみせる。
そして隣におった金ちゃんと財前にジャージ汚れとるし一緒に宿の方へ行くか?と問いかけてみれば財前はいち早く頷く。
相当今のジャージ着てるの嫌なんやろうなと察して苦笑してもうた。
金ちゃんが帰るならと千歳も一緒に帰ることになりオサムちゃんに声をかけると、既に他の部員の事を纏めとってくれたのか後は小石川たちに任せると言い残し俺らと一緒に来てくれたのやった――。

***

「よいしょっと」

そう声を出してからゆっくりと【名前】をベッドの上に寝かせる。
あれから鍵問題をすっかり忘れとった俺はどうないしようかと思ったがオサムちゃんが『フロントに言えばどうとでもなるやろ』と言い本当にどうにかしてしまい俺とオサムちゃんで彼女の部屋に来とった。
勝手に部屋に入るのも悪いと思いつつも、寝かせる為にもしゃあないと言い聞かせ部屋に入ればほぼ片付けられとった部屋は気まずくなるようなもんは何一つなく俺は安堵した。
そこからはオサムちゃんに手伝ってもらって【名前】を寝かせてから、掛け布団をかけようとして手が一瞬止まり、俺は視界に入ったオサムちゃんを見て驚いてしまう。
いつの間にか俺の傍から離れて鏡台の所に散らばっとったノート類に手をかけるオサムちゃんを見てギョッとする。

「ちょ、何しとるん、オサムちゃん?」
「え?あぁ、ノートや」

驚きすぎて大声を出してしもうて、起こしてしまうかとも思ったけど、眠りは深いようですやすやと眠り続ける彼女を見て俺は安堵して布団をきちんとかけてからオサムちゃんの方へと近寄る。
俺が近寄った時には既に数冊あるノートを全てパラパラとめくった後の様やった。
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