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ゆるやかな速度で

第10章 8.合宿02


「オセロしとったんか?」
「せやねん!千歳めっちゃ強いんやで!」
「たまたまたい」

白石くんの質問に金太郎くんが元気よく答える。
そしてその金太郎くんの言葉に苦笑しながら千歳くんは白石くんに言葉を投げかけた。
その言葉を聞いてから白石くんは再度オセロを見てから私の方へ向いたのだった。

「もしかして今対戦しとったの【名前】?」
「うん。千歳くん、とても強くて。まるで何手も先の私の事も分かっているみたいで」
「…ほんまか?」
「え?う、うん」

私の言葉を聞いて白石くんは何か考え込んだ様だった。
少し思案する仕草をしてから、白石くんは千歳くんに1つの提案をしたのだった。

「千歳、悪いけど俺とも勝負してくれへん?」
「え」

白石くんのその言葉は予想外だった様で千歳くんは驚いた表情で白石くんを見ていた。

「珍しいな、白石がそないな事言うなんて」
「ほんまやね。蔵りんどないしたん?」
「いや…ちょっと気になる事があってな」

勿論驚いたのは千歳くんだけではなかった様で小春くんとユウジくんも驚いた声をあげる。
その言葉に白石くんは苦笑しながら答える。

「俺は別に構わんばい」

2人への回答を聞いて千歳くんも何か思うことがあったらしく白石くんの申し入れを彼は受け入れる。
そして私は、その言葉を聞いて今座っていた席を立ち、白石くんに椅子を譲る。
私がそこから立ち上がるのをみて白石くんは『ありがとな』と軽くお礼をいい椅子へと座った。
彼が座ったのを見届けてから、私はどうしようかと辺りを見回していると、小春くんが『【名前】ちゃん、こっち』と手招いてくれたのでそちら側へと行くと、小春くんが座っていた椅子を私へと譲ってくれる。
遠慮する私を見て小春くんは『レディファーストやで』と言いながらウインクをしてくれたので私はお言葉に甘えることにした。
小春くんの優しさに感謝しつつ私は椅子に座る。
そして私の座っている椅子を挟む様にして左右にそれぞれ立っているユウジくんと小春くんと椅子に座る私の目の前で繰り広げられる白石くんと千歳くんのオセロ対戦を観戦するのだった――。

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