第2章 うつけの婚礼
信長は、生駒屋敷を訪れた。
馬から降りた彼を出迎えたのは、一人の少女。白い肌に正に「烏丸の濡れ羽色」な黒髪が似合うこの美少女は、信長の恋人といわれる吉乃だ。
だが、それは建前。彼女もまた、信長の正体を知る者だった。
吉乃は信長の様子がいつもと違うことに気が付いた。
「あら、どうしたの?」
その問いに、少し悩みを含んだ微笑みで信長は答えた。
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「吉乃姐さん・・・・・・相談したいことが、あって・・・・・・」
その答えに、何か気付いた様子の吉乃は、すぐに信長を部屋に通し、人払いをする。そして、静かに口を開いた。
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「何があったの?信ちゃん。」