第3章 織田信秀 ──うつけの父上──
「帰蝶。今日は父上達に挨拶に行く。」
婚礼から数日後、目が覚めてさほど経たずに信長はいった。
「今日・・・・・・義父上様──信秀様に御挨拶ですか?」
「ああ。昨日の夜、城に来いと言う連絡が来てな。しかし、言い忘れてしまっていた。すまない。」
「いいえ。構いませんが・・・・・・それに、義父上にもお会いしてみたいですし。──そう言えば、あちらのお城には義母上様もいらっしゃるのですか?」
帰蝶の言葉に、信長の表情(かお)が固まる。
「・・・・・・ああ。母上も、弟もだ。」