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第3章 気付くのはいなくなってから


よく見てみると、この二人組は豊玉高校の選手だった。ユニフォームを着ているし、映像でも何回か見たことある。名前は確か…


「…南、岸本。うちのマネージャーに何か用か?」
「藤真…」


肩に誰かの手が置かれたから振り返ると、後ろから私を支えるように立つ藤真がいた。そうか、南に岸本…。二年生の選手だったな。


「あー、翔陽の人?マネさんに前方注意するように言うときや」
「それは失礼したな」
「…マネさん可愛いなぁ?県内予選2位程度でも女子マネージャーいてはるんやねぇ。うちなら考えられへんわぁ」


なんて嫌味な奴ら…!寄りによって藤真が一番気にしていることを…!「ちょっと…」と口から抗議の言葉が出そうになった瞬間、肩に置かれていた藤真の手に力が入る。


「豊玉も確か2位通過だろ。大阪で優勝できなかった鬱憤を俺達に全部ぶつけてくれて構わないぞ」


藤真お得意の余裕綽々スマイルだ。これが出ると試合でも調子いいことが多くて、私は思わず口元が緩んでいった。


「…せやな。そうさせて貰うわ。フジマくん?…ほら、行くで」


南と岸本はこちらを一瞥してから、豊玉高校のロッカールームへと向かっていった。ハッキリ言ってガラが悪い。うちの部員にはいないタイプだ。体も藤真より大きかったのに、藤真は毅然と立ち向かってくれた。


「藤真、その、ありがとね」
「…ふーん。今日は素直じゃん」
「私はっ…いつも…!」






いつも…………何?






藤真格好いいね…って、私はどうして言えなくなっちゃったんだろう。
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