第1章 邂逅。
「?..旅団が好きだからです。シャルナークさんも、クロロさんも、。勿論マチさんやシズクさんやノブナガさんやウボォーさんやフランクリンさん、フェイタンさんやコルトピさん、ボノレノフさんやパクノダさんが来ても同じことをしました。私、旅団が大好きなんです。この世界では紙面上の存在でしか証明されていません。ですが、それでも旅団の皆さんが大好きなんです。」
旅団のところに行きたいな。って毎日思ってしまうくらいには。と彼女は苦笑する
きっと、あほらしい、馬鹿らしいと笑われたのだろう。彼女自身も否定しきれなくて、疑って、何度も立ち止まったかもしれない。でもきっと、信じたかったんだと思う。いつもなら僕も笑うかもしれない。でも、今それを体現した彼女を目の前にして、懸命にそれでも信じようと愚直に足掻くような様に、笑うことは、出来なかった。なにより実感してしまった。
これがやった人とやらなかった人の違いか、なんて考える
(彼女と同じ思いを持っている人が大勢いたとして、一体何人が、この世界では紙面上の存在でしかないという真実を受け止めて、ありえないと思う自分の気持ちからも正面から向き合って、せめぎ合って迷いながら苦しみながら想い続けられただろう)
見ず知らずの少女に深く想われている。そんなアンバランスな事態に、少なからず困惑する。
だけど、今僕達のことを紙面上の存在であろうと、例え僕達をキャラクターとして扱っていたとしても、まっすぐと好意を伝えてくる姿は、少なからず好ましいと思った
「そっか..団長、どうする?」
ここまで沈黙して本を読んでいた団長に判断を仰ぐ
団長はこちらに目を向けて、パタンと本を閉じる。
「俺としても賛成だ。君がいいというなら、住まわせてくれないか、世話をかける」
そして、クロロとシャルナークとアオゾラの、奇妙な同居生活が始まるのだった。