第6章 妖討伐(1)
こっそり溜息を吐いていると、政宗さんが興味津々といった風で顔を覗き込んできた。
「何かの準備でもするのか?」
「えぇ、まあ」
私は曖昧に答えて避けようとするが――
「面白そうだな。俺も行く」
「へ?」
驚いて思わず政宗さんを見た。秀吉さんが眉を寄せて言う。
「こら、政宗。遊びじゃないんだぞ」
「分かってるって。そうカリカリすんなよ、秀吉」
(秀吉さんは、私の見張り且つ城下の案内。政宗さんは、明らかに興味があるだけってところかな)
「…分かりました」
私の答えに、信長さんが片眉を上げた。
「ほぅ、素直だな」
「基本的にこちらの意思など聞かないのでしょう。なら、問答するだけ時間の無駄です」
「ならば良し」
信長さんは満足そうに微笑んだ。私も御膳を綺麗に食べ終えて手を合わせる。
「御馳走様でした」
片付けをしようと立ち上がるが、そんなのは女中に任せれば良いと政宗さんに言われ、早く行こうと秀吉さんの腕を掴み、私の背中を押して歩き始める。
「ちょっ、政宗さん!」
「政宗で良い。さっさと行こうぜ」
「おい政宗、引っ張るな」
そんな会話をしながら、私達は広間を後にした。