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【イケメン戦国】 時を翔ける巫女

第6章 妖討伐(1)


 光秀さんの声で我に返った私は、慌てて足を進めた。
 襖を開けると、和食の何とも良い匂いが鼻をくすぐる。そこには武将達が既に座っていた。

「おはようございます、珠紀様。身体の御加減は如何ですか?」

 三成さんが一番に声をかけてくれる。

「おはようございます、三成さん。今のところは平気です。すいません、御迷惑をおかけして」

 私は軽く頭を下げた。

「珠紀様、私に敬語など不要です。三成と呼び捨て下さい」
「え⁉」

(名だたる戦国武将を呼び捨て⁉さすがにそれは出来ない……
特に三成さんは…………してはいけない!)

「珠紀様……」

 オロオロしているうちに、三成さんが有無を言わさぬエンジェルスマイルで見つめてくる。

「ぅぅぅ……せ、せめて三成君じゃダメ、ですか?」
「はい。宜しくお願いしますね、珠紀様」

 ニッコリと頷かれ、私は息を吐いた。

「無駄口叩いてないで、早く食べなよ」

 家康さんはぶっきらぼうにそう言うと、御膳に唐辛子を大量にかけ始めた。

(えっっ⁉)

 私が唖然としている間にも、料理は見た目も分からないほど赤くなっていく。

「またお前はそんなにかけやがって」
「味が薄いです」
「お前のは十分に辛くしてんだよ!」
「まだいけます」
「はぁ……」

 項垂れている政宗を見て、私はある考えに思い至る。

(もしかして……この料理は、政宗さんが?
意外だ……あ、でも戦場の料理人なんて言われてるし、ずんだ餅の考案者だからそうでもないか)

 とりあえずどこに座るか考えようと別方向に視線を転じた瞬間、私は目を見開いた。

「光秀さん…?…何、やってるんですか?」

 そう。あろうことか光秀さんは白米の上に漬物やら汁物やら全ての料理を乗せて混ぜて食べていたのだ。

「全部混ぜて食べると効率が良いだろ」

 さも当然というように光秀さんはそのまま変食を続ける。

(信じられない……現代でもいないよ、こんな人……)

「なんて……勿体無い……」

 呆然とそう言うと、同意者を得た政宗さんが私の肩に腕を回してくる。

「そうだそうだ。もっと言ってやれ」
「ちょ…っ、近い!」

 私は慌てて政宗さんの腕を引き剥がした。
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