第4章 犬のきもち
『小さい頃みたいだね。』
『うん。』
『はーちゃん。』
『なに?』
『なんで髪切ったの…?』
『……。』
『ごめん言いたくなかったら…
『結城さんの真似するのやめようと思って。』
『え…真理亜さんの…?』
『うん。長太郎の好みなんだろうなと思ってずっと真似してたのに、本人は全然気付いてないし馬鹿みたいだなって思って。』
『ごめん…なさい。』
『別に、今朝可愛いって言ってくれたしそれでチャラかな。』
『うん。本当に似合ってる。』
『長太郎。私に言いたいこと、あったんでしょ?言わないの?』
『……うん。あのねはーちゃん。俺さずーっとはーちゃんといて、いつも支えてもらっててさ。それが当たり前でなんか甘えてたっていうか。』
『本当は良くないんだと思うんだ。色んな事があってさ、そんときにはーちゃんのこと傷つけてたわけだし。』
情けないけどなんだか泣きそうだった
いっぱいいっぱいで我慢できなかった
『私は別に構いませんよー。』
はーちゃんは全然動じてなくて
ハンカチで俺の涙を拭ってて
それもまた悔しくて
『なんでそんな落ち着いてるんだよ!俺泣いてるしかっこ悪いし振られて幼馴染に慰め求めるやつだよ!?好きになる要素ゼロじゃん…!』
『じゃあ、好きな人が振られて落ち込んでるのにつけ込んで頭撫でたり優しくしたりするあたしもかっこ悪いし好きになる要素ゼロだよね。』
『そんなの…。』
『長太郎。泣いてるとこも笑ってるとこもぜーんぶ好きなんだよ。願わくばその原因が私だったらいーな。とかわがままなことも考えたりするけど。』
『はーちゃん。俺。俺、すぐに恋人とかうまく切り替えらんないと思うんだ。』
『うん。だと思った。』
『けど、はーちゃんのこと世界で一番大事に思ってる自信はあるんだ。』