第2章 ご近所付き合いは良好に
朝、目が覚めると見慣れない天井が目に移る。
寝ぼけた頭で
(あっ、この天井を見るのは2回目だな)
と考える。
昨日と同じ部屋を見回して、思考がはっきりしてくる。
バッとカーテンを開けるとちょうど家を出てきた研磨くんと目があう。
(まだ、この世界にいる。)
ぼうっとしていた私に研磨くんが何かジェスチャーをしていることに気づく。
(窓開けてってことかな?)
私は急いで窓を開ける。
研磨「おはよう。」
「お、おはよう!」
そう言うと研磨くんは歩きだす。
(えっ!?おはようって言うためだけに開けてって言ったの?
なんか…可愛い、かも?)
私は急いで研磨くんに声をかける。
「研磨くん!行ってらっしゃい!」
研磨「…行ってきます。」
そう言って優しく笑った研磨くんの顔が思いのほかかっこよくて、研磨くんの背中が見えなくなるまでずっと見送っていた。
彼の背中が見えなくなって部屋の中に入り時計を見ると朝の6時。
(えっ、研磨くん早くない!?たぶん部活だよね?
やっぱり昨日片付け手伝ってもらうんじゃなかった…。)
黒尾くんの家にお母さんを迎えに行くにしてもちょっと早いよね…。
(よし!)
私は携帯片手にキッチンに立った。
(理想の朝食…)
検索して出てきたなかで簡単そうなものを探す。
失敗したら意味がないと思い。
お味噌とだし巻き卵をレシピに忠実に作った。
冷蔵庫にあった野菜を適当に切ってサラダにする。
(こんなもんかな…)
手際がいいわけではないので結構時間がかかってしまった。
今は7時前くらい。
(そろそろ行ってもいいよね?)
だし巻き卵とサラダをタッパに詰め
そこらへんにあったエコバッグに入れ、お味噌はお鍋ごと持ってくことにした。
(お隣だし、いいよね。)
両手がふさがっていて四苦八苦しながら玄関から出るとランニングから帰ってきたらしい黒尾くんがちょうど家の前を通っていた。
「おはよう!」
黒尾「おはよ。朝から大荷物だな。
もしかしなくても俺ん家に持ってくんだろ。」
そう言ってお味噌の入ったお鍋を持ってくれた。
「ありがとう。ランニング終わりで疲れてるのにごめんね。」
黒尾「いや、そんなに疲れるほど今日は走ってないから。
そっちこそ、朝から料理、ありがとな。」