《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
正直、ゆめからの電話が途中で通じなくなったときは肝が冷えた。女子大生が襲われたというニュースがすぐに頭をよぎった。最悪のことまで考えて、いても立ってもいられなくなった。
『もしかしたら、ゆめを失うかしれない』
この恐怖はうまく表現できない。今まで安心しきっていたが、突然崖から突き落とされた気分だった。
急いで現場に駆けつけてみれば、ゆめは頑強な男に抱かれているし、明らかに異常な目をした男も立っているし。わけわからなかったが、とりあえず異常な雰囲気の男に膝蹴りを入れてみた。結果はビンゴ。そいつは悪霊に取り憑かれていた。
俺はゆめを失いたくない。他の男に渡したくない。カッコつけている余裕はもうない。なりふり構わず必死になって守らなければ、ゆめはあっという間に俺の腕からするりと逃げてしまうだろう。
そんなことはわかっていたし、気をつけているつもりだった。でも慣れとは恐ろしいもので、だんだんと気が緩んでしまう。俺としたことが……うかつだった……。
「ゆめ、入れよ。少し散らかってるけどな」
部屋の鍵を開けると、俺はゆめを中に招き入れた。照明のスイッチをつけると、部屋の広さに不釣り合いなウォーターサーバーがまず目に入る。前の仕事で仕方なく購入したものだ。
「霊幻さん、あの……」
ゆめが鞄をソファに置いたとたん、俺は彼女を抱き上げた。
「ベッドに行くぞ」
「え!? そんな来てすぐに……」
「ばっか、おまえ。俺が茶でも出して呑気にもてなすとでも思ったか? 言っただろ? 今すぐにおまえを抱きたいんだよ」
ゆめをベッドに勢いよくおろす。仰向けのまま沈んだ彼女の上にのしかかった。
「れっ、霊幻さんっ……」
ゆめが困ったように声を上げる。そのわりには期待が表情に表れている。
「いいか、ゆめ。覚悟しろよ」
「覚悟?」
「今からエクボの100倍、キスするからな」
「え!? さっき道で散々したのに――」
俺はまたゆめの口を塞いだ。今度は段階なんて踏まない。最初から全開だ。