《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
《霊幻side》
「霊幻さん、私たちが付き合ってること、モブくんにもバレちゃいましたね」
心配そうにゆめが俺を見上げた。
モブを家まで送り届けて、俺たちも帰るところだ。人通りの少ない住宅街を並んで歩く。
「モブのやつ、前から気づいていたみたいだったな。まあ、気にしてないようだし、心配はいらないだろ」
繋いでいたゆめの手を強く握る。
モブに知られたのは別に構わない。どうせいつかはバレることだった。もっと早く話してもよかったが、単純に俺が照れくさくて後回しにしていただけだ。
それよりもゆめが大学で襲われたことのほうが気にかかる。心配いらないと、たかをくくっていたが、やはりゆめも女子大生だ。今回はエクボがいたからよかったが、これからだって危険はあるかもしれない。そのときに毎回俺がちゃんと守れるのか?
「霊幻さん? どうしたんですか? 怖い顔して……」
ゆめが不思議そうに俺を覗き込んだ。
「ゆめ……」
「はい?」
俺は立ち止まった。
「おまえ、俺よりエクボと付き合いたいか?」
「は!?」
ゆめが目を丸くする。
「いや、いい。なんでもない……」
ダメだな、珍しく弱気になっちまっている。この俺としたことが、『エクボのほうがゆめにふさわしいんじゃないか』なんて、バカバカしい。
再び歩き出すと、ゆめも不安そうに俺の様子を伺いながらついてきた。チラチラと何度も見上げてくる。
「あの……霊幻さん、さっきのこと怒ってます?」
「さっきのこと?」
「エクボのこと……。でも本当に助けてくれただけなんです。最後のキスは……いえっ、キスといってもほっぺに軽く当たっただけですし! あんなのキスにもならないですから!」
「…………」
バカだな、ゆめ。キスって自分でいっちゃってるじゃねぇか。相手に忘れさせたいなら、その言葉を使っちゃだめだろ。自らその話に誘導してどうする。ったく。
「本当に! 誤解しないでください! エクボとは何もないんです! エクボは私と霊幻さんのことも応援してくれてるし!」
「へぇ、そうか……」
俺はゆめの腰に腕を回すと、ぐっと引き寄せた。