《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
「ううん……助けてくれてありがとう」
もし、エクボが来てくれなかったら……。
考えただけでもゾッとする。
「ゆめは油断しすぎじゃねぇのか? もっと気をつけろよ。霊幻も心配するぞ?」
エクボは長い足を使ってヒョイと落ちていたショーツを拾った。男にさっき脱がされたものだ。
「あっ! そ、それっ!」
「これは助けた礼に貰っておくか」
「何いってるの! 早く返して!」
取り返そうと手を伸ばした瞬間、何かにいきなり足首を掴まれた。
「きゃっ!?」
バランスを崩して前に倒れる私。
「おっ!?」
エクボがとっさに私を抱きとめてくれた。
今、足を引っ張られた気がしたんだけど!?
エクボに掴まりながら、確かめようとすぐに身を起こす。
『まさか下等の霊に邪魔されるとはな……』
背後で低い声が響いた。
「っ!?」
振り返ると、倒れていたはずの男がゆらりと立ち上がった。
エクボがニヤリと笑う。
「下等? その言葉、そっくりそのまま返すぜ。あいにく俺様はそこらへんのチンケな霊とは格が違う。上級悪霊だ。舐めてもらっちゃ困るな」
『なら、おまえから始末するか……。女の生気はそのあとにいただく……』
顔を上げた男の目が不気味に光った。さっきまでは感じなかったのに、今は強い霊気がまとわりついている。
「うそ……霊が取り憑いていたなんて……。全然わからなかった……」
私はエクボのスーツの裾をギュッと握った。
「気にするな、ゆめ。俺様たち霊は少しなら気配を消せるし、不可視モードを強めることだってできる」
「不可視モード?」
「霊能力者以外には視えないようにコントロールできるんだよ。もっと強めりゃ、シゲオみたいな強い能力者にしか視えなくなる。ましてや、さっきみたいに襲われているときにゃ誰だって冷静に見抜くのは難しい。落ち込む必要はねぇ。すぐ終わるからゆめはじっとしてろ」
強く抱き寄せられ、私もエクボにさらにしがみつく。
なんだかんだいって、エクボは強い。モブくんに一度除霊されかけたときにかなり霊力を失ったらしいけど、それでも簡単には負けないはずだ。